酒造りへの
思い
溝上酒造の創業は弘化元年(1844年)。
大分県中津市で産声を上げ、福岡県北九州市八幡に蔵を移してからも、脈々とその歴史を紡いでまいりました。
「日本酒の味は造り手が決める」
米にこだわり、水にこだわり、環境にこだわる。だが、最後に味を決めるのは『造り手』である。
溝上酒造の信念は、『基本に忠実に、誠実な心で酒造りに向き合う』ことです。目指す理想は、味わいがあってキレが良い、食事との相性を考えた『究極の食中酒』。
溝上酒造の酒造りへの思いやこだわりをぜひご覧ください。
酒造りに不可欠な
3つの要素
-
北九州では難しい
山田錦の生産に挑戦まずは、米。
"酒米の王様"とも呼ばれる『山田錦』。
粒が大きく、心白(しんぱく)がはっきりとあり、雑味が少ないことが特徴です。かつて、福岡県産の山田錦の多くは糸島で作られており、台風が多い北九州では生産に不向きと言われていました。
しかし、私たちには「地元の米を使って酒造りをしたい」という強い思いがありました。
溝上酒造は、北九州の皆さまに愛されることで今日まで歴史を紡ぐことができました。
北九州への深い感謝の気持ちを、地元の素材を使って酒造りをすることで返していきたいと考えたのです。
しかし、私たちは米を生産できるわけではありません。
この挑戦には、信頼できるパートナーの存在が必要不可欠でした。同じ情熱をもつ
心強いパートナー「良い原料を使ったからといって、良い酒が造れるわけではない。」
日々の酒造りで実感があったため、『良い造り手』にこだわりました。無謀ともいえる私たちの挑戦を、同じ情熱を持って追及していただけるパートナーが欲しい。
それを叶えてくれたのが農家の倉成さんでした。はじめて出会った時から、『造り手』として強い信念を持っていると感じ、何年も想いを伝え続けました。
何度も断られ続けましたが、諦めない強い思いが伝わったのか、数年越しに私たちは第一歩を踏み出すことができました。
その後、倉成さんの情熱が実り、『北九州産山田錦』の生産に成功。
今では溝上酒造のほとんどの酒米を倉成さんが生産しています。地元の素材で北九州に恩返しを。
お世話になっている地元の方に喜んでいただける酒を。これが溝上酒造の酒造りの根幹です。
-
日本酒造りに合う
水を求めて次は、水。
日本酒造りには、鉄分が少なく、カリウムやマグネシウムなどの有効成分が含まれる水が適しています。
もともとは大分県中津市で創業した溝上酒造でしたが、八幡製鐵所前に営業所をかまえていたため、北九州の方々に商品を愛していただきました。
これをきっかけに、清らかな湧水を求め、1931年に北九州に拠点を移すことになります。
地元の水で
美味しいお酒を日本酒に合う、豊かな水源を求めて辿り着いたのが皿倉山の麓。
皿倉山の伏流水は、鉄分が少なく軟水なので、日本酒、特に吟醸造りに適しています。
約100年前の移転時から現在に至るまで、綺麗な水が湧き続ける素晴らしい水源です。
「美味しい酒が造れる街だと知ってもらいたい。」溝上酒造のすべての銘柄は、今もなお敷地内にある4つの井戸から汲み上げた水で造っています。
地元の米に合う、地元の水です。
-
酒に命を吹き込む、
造り手の誠実な心最後は、心。
最高の原料が揃ったら、今度は『造り手』である私たちが思いを込める番です。
酒造りはとても繊細な仕事。
工程も多く、時間も手間もかかりますが、一切手を抜くことは許されません。私たちの信念は『基本に忠実に、誠実な心で酒造りに向き合う』こと。
従業員ひとりひとりが信念を持って取り組まなければ、美味しい酒は作れないのです。
「洗い物ひとつ」に
対しても最大限の気配り酒造りは、目に見えない菌を扱う繊細な仕事です。
私たちは、洗い物ひとつに対しても細かな気配りをしています。
例えば、酒の原料を通したホースを洗う場合、洗い終わった後に必ず水を通し、においがついていないか、水に雑味が交じっていないかなど、実際に水を飲んで確認します。
酒造りに対する誠実さが味を決める。
全従業員が酒造りに対して誠実な心を貫いています。
日本酒ができるまで
-
1. 米の処理
精米
お米は粒の中心ほどデンプンの含有量が多く、良質のデンプンをお酒にするために、米の表面を削り取る。
洗米~浸漬(せんまい~しんせき)
お酒造りに理想的な外硬内軟の蒸米をつくるため、時間を計り、ギリギリのタイミングでお米に吸収させる。
米を蒸す
お米を蒸す(α化)ことで、後の工程で麹菌がデンプンをブドウ糖に分解できるようになる。
熱による殺菌効果も。溝上酒造のこだわり
品種やお米の大きさ、精米の状態によっても浸漬時間が変わります。
吸水率は0.5%単位で調整します。
米を蒸す際には、窯の中の米が均等に蒸せるように、配置や圧力調整に工夫を凝らします。
蒸し上がった米を手に取り、つぶして固さを確認。
弾力があり、触った時にさばきの良い出来上がりを目指します。 -
2. 麴(こうじ)づくり
蒸米に麹菌を繁殖させて米麹をつくる。(丸2日間ほど)
麹は酒母、醪(もろみ)の中で米のデンプンを分解し、酵母のエサとなるブドウ糖をつくる。(糖化)
日本酒の旨味や味わいは麹に由来する部分が多く、古来より「一、麹。二、 もと(酒母)。三、 造り(醪)」といって日本酒の出来を左右する最も大切な作業だといわれてきた。
溝上酒造のこだわり
温度管理・分析を徹底し、目標通りの発酵をしているかを細かく確認します。
手間はかかりますが、何度か箱を移し替えることによって、じっくり発酵を進めていきます。
良い麹の証ともいえる「栗香(くりか)」が立ち始めたら、完成の合図です。 -
3. 酒母(しゅぼ)を育てる
酒母は麹・水・蒸米に酵母を加えたもので、発酵の主役となる酵母を大量に育てる工程。(10日~30日間ほど)
ここで元気に育った酵母が中のブドウ糖を食べてアルコールを作る。(アルコール発酵)
「酒の母」と呼び、日本酒造りにとっての土台をつくるようなものなので、(もと)とも言う。
溝上酒造のこだわり
「清潔」であることに最新の注意をはらって仕込みます。
-
4. 醪(もろみ)づくり
酒母に麹・水・蒸米を加えて酵を仕込む。
本仕込の醪は酒母の約15倍の量にもなる。
一度に仕込むと、酒母で元気よくたくさん育った酵母密度が薄まってしまい、上手に発酵しないばかりか、場合によっては空気中の雑菌に汚染されて腐敗してしまう可能性があるため、古来より日本酒造りは酵母が増えるスピードにあわせて三段仕込みを行ってきた。仕込んだ醪は約20日から40日かけて酒になる。
溝上酒造のこだわり
ひとつのタンクで仕上げてしまうと温度調節が難しいため、溝上酒造では仕込みごとにタンクを3つ使用し、温度調整をしやすくすることで、キレのいい日本酒に仕上げていきます。
-
5. 上槽(じょうそう)~ろ過・火入れ~貯蔵
発酵を終えた醪を圧搾機で搾り、酒と酒粕に分ける。
搾りたての新酒はそのまま出荷するものもあれば、ろ過や火入れ(加熱殺菌)等を行って出荷するものもある。
また、酒質に適した環境で貯蔵される酒もあり、これらの工程の違いによりバラエティに富んだ商品ができあがる。
溝上酒造のこだわり
発酵の進み具合を細かく観察し、味に影響を与えてしまうアミノ酸が出る前に搾ります。
搾りが終わった後、日を置かずにすぐに火入れや貯蔵なども行います。最新の管理設備を用意しており、-5℃まで冷やせるサーマルタンクや冷蔵庫で貯蔵し、味のフルーティーさやフレッシュさを保っています。
想いを込めて醸し上げた
溝上酒造の日本酒を、
ぜひ人生の彩りとして
ご賞味ください。